植栽や外構を含めた建築の提案で他社との明確な差別化へ

ArchiCADSoloを3台稼働中の栗林賢次建築研究所。ランドスケープパック導入後、建築の提案でどのように活用しているのか、栗林氏とスタッフの池田氏、左近充氏、佐野氏にお話を伺いました。

RIK
 ArchiCADの導入の決め手はなんだったのでしょうか? 
栗林
ArchiCADの導入を決めた理由は、世界的に普及しているCADの一つだったことです。
シェアの高いソフトだと付随するソフトやサポートもクオリティが高いだろう、という信頼もありました。 
RIK
池田さんの入社後、リックランドスケープパックを導入して頂いたのですが、それはどういう経緯での導入となったのでしょうか? 
池田
入社して一年目の時に、外構がメインになる保育園のコンペや広大な敷地のお寺の改修プロジェクトがありました。そんな時にグラフィソフトのセミナーで手にしたリックランドスケープパックのチラシを見て、たくさんの樹種や様々な外構のパーツが登録されていることを知りました。この素材集があればもっとパースがキレイに仕上がるのでは、と思い所長に相談しました。
栗林
パースのクオリティをあげたいという池田の熱意に応えて、ランドスケープパックの導入を決めました。
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RIK
リックランドスケープパック導入後の変化ってなにかありましたか? 
池田
植栽が軽いのでCAD上での作業がとてもしやすいです。樹木が成長すればするほど葉の枚数や幹も自動で大きくなるので、パースにとてもリアリティが出ます。
左近充
登録されている側溝などをよく使うんですが、境界にしっかりと見切りをつけることで、より引き締まったパースが作成できます。細部まで入力することにより、パースの印象が本当に変わります。現在、使用しているレンダリングソフトでも植栽を植えることは可能です。それはランドスケープや大規模のプランには最適ですが、住宅のプランにはランドスケープパックの植栽の方が効果的だと思います。ArchiCAD上で植栽を配置することで、BIMxにもそのまま植栽が配置されますので、BIMの効果を最大限活用できます。
RIK
様々なプロジェクトに参加中だそうですが、どのようなプロジェクトかお聞かせ願えますか?
栗林
我々が現在参加しているプロジェクトは植栽がカギを握っています。阪神淡路大震災の際、多くの建物で汚水配管が断裂しました。特に水洗トイレが使用できない事態は深刻でした。
そこで我々は植物と土壌を活用した循環式水洗トイレの開発を、研究者の方達と一緒に行っています。その仕組ですが、植物が植え込まれた土壌の中に配管を通し汚水を散布します。土壌に含まれるバクテリアが汚水を濾過し、キレイな水となり、その水を集水し、再び水洗トイレで使用します。こうすることで災害時でも清潔なトイレが使用可能となります。このプロジェクトのプレゼン時にも、植栽や外構のアイテムが効果的な役割を果たしてくれました。
他にも、プロダクツハウスのコラボレーションにも参加中です。プロダクツハウツのコラボレーションでは建物の設計はもちろん、敷地全体の計画も予定しています。実施設計も、植栽の配置もすることで建物パースの作成だけではなく、 構造や敷地全体の設計も担っています。「栗林事務所なしには話が進まない」という位置づけになっていくのでは、と思います。ArchiCADはただの建物パースを作る3次元CADではなく、あらゆる計画の面で役立っています。 
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RIK
植栽を提案に含めることで差別化になっていると思いますか? 
栗林
植栽や外構を含めた提案は、競合他社との差別化になっていますね。プランはトータルで見るものだから植栽が入っていないと出来上がりのイメージが全然違います。空気感まで伝わるようなものをプレゼンしたいと思っています。ここまでやるか?と言われるほど、こだわって作成・提案していかないと生き残れないと思っています。クオリティ、スピード、プレゼンテーション、その全てが重要です。金額が明確に提示できること、変更のレスポンスが早いことも大事ですね。クオリティの高いものを早く正確に作るためには、最新のソフトを最大限に活用した方がいいと思っています。そのソフトを使いこなし、プレゼンまで出来る若い人材を育てたいと思っています。 
RIK
若い人材というキーワードが出たのでお聞きしますが、スタッフのお三人もとてもお若いですよね。 
栗林
そうですね、三人ともまだ若くて伸びしろがあります。彼らには色々な試練を与えてます。困った事や、不明な点があればフォローはしますが基本的には任せています。その度に三人共が、課せられた試練を乗り越えて成長しています。それはやっぱり仕事にかける熱意のなせる技だと思いますし、意欲が人を革新させています。仕事において失敗は駄目なことですが、失敗の手前まで自分で経験させないと育たないと思うんです。次に入社してきた新人に自分が習得したことや知識を分け与え、新人が育っていく。人材が育ついい循環が生まれます。
色々なことを吸収できる若い時期に仕事を任せ、試行錯誤しながら自分で選択していく責任の重要性を学んでほしい。経験しないと何も見えてこないし、生まれないと思います。そういう風に人材は育つものだと思います。そのためには若い人が安心して働ける、安定した環境を作らないといけない、そう思っています。 

■栗林賢次建築研究所■
住所:大阪市中央区北浜1-1-20 三ツ星ビル3F
電話:06-4963-3190
公式サイト:http://www.kuribayashi-ao.com/