息子支える父の愛。60代でCADオペを選択した理由

62歳にしてCADオペレータ養成講座を受講し、現在「CADオペレーター」として第二の人生を歩んでいる田所さん(仮名)。どうして60歳を超えて新しい道にチャレンジしようとしたのか、お聞きしました。

RIK
60歳を超えて新しいこと、しかもCADのスキルを習得するってなかなかないことだと思うのですが… 

田所
そうかもしれないですね。60歳でリタイアしたあと、知り合いの会社の繁忙期のみ事務仕事を手伝いに行ったり、あとは家で読書したりたまに妻とでかけたり。そんな感じのリタイア生活を送っていたんです。息子が一人いるんですが、息子がエクステリア業で独立しておりまして。 
RIK
ちなみに息子さんはおいくつなんですか? 
田所
35歳です。高校を出てすぐに左官の職人の仕事をしてまして、その後、外構の設計・施工の仕事に就いて、30歳で独立したんですかね。自分で設計・施工の会社をしたいって言ってね。 
RIK
相談などはあったのですか? 
田所
もちろん、会社を辞めて独立しようと思ってる、ってのは事前に聞いてましたが相談というよりは報告って感じですね。言い出したら聞かないですし、大の大人の男が決めたことですからこちらとしても口出しできません。 
RIK
独立後は順調なのでしょうか? 
田所
ありがたいことに仕事はたくさんあるみたい常に忙しそうにしていますね。近くに住んでいてまだ独身なもんで、夕飯はうちで食べることが多いんですが、昼は現場に出て、夕飯後また事務所で深夜過ぎまで図面を描いてるような生活で。「俺の息子はこんなに頑張り屋だったんか」と初めて知りましたね(笑)
RIK
他に従業員の方などはいらっしゃるんでしょうか? 
田所
事務の女性とプランナー兼オペレータの男性と息子との三人ですね。そんな深夜まで仕事する状態が続くなら、人雇えって言ったんですがそんな余裕はない、と。で、それまで息子の仕事内容ってのは知らなかったんですが、要はお客さんがこうしてほしいという話を聞いてそれを計画して、図面に出して、それを見ながら工事するっていう仕事をやっとんだな、ってのはわかってきまして。 
RIK
ふむふむ。 
田所
で、最初は冗談で「俺が図面、描いてやろうか」みたいに言ってたんですわ。そしたら息子に「バカにするな、そんな簡単にできるもんじゃねえぞ」と一蹴されたんですけど、でも毎日ヒマしてるわけですし、やってできんこともないんじゃなかろうか?という思いが出てきまして。元来、好奇心旺盛な性格なもんで息子に「CADってのを勉強するから教えろよ」って言っていたら、CADオペレータ養成講座のことを言ってきて。 
RIK
それで受講してみようかと思ったんですか? 
田所
もともとパソコンがあまり得意でなかったので、パソコンスクールにでも通おうかなとは思ってたんです。時間はたっぷりありますし。ただ習うにしても目的がある方がいいですよね。この養成講座なら自分のためでもあるし、息子の役にも立つかもしれんし一石二鳥!と思って、あまり後先考えずに申込みました。 
RIK
決断力が早いですね!
田所
でも申し込んだ後、こんな歳いってるのに大丈夫なんかね、という不安がでてきて。でもまあ、お金払ってるわけだしいくつになっても勉強することの何が悪い!と開き直って。そしたらその時の受講生の中では最年長でしたが、でも別に浮くこともなく講師の話だと50代、60代の受講生もたまにいるみたいで。 
RIK
CADの操作についてはすぐ理解できましたか?
田所
それが全然!最初は本当に難しかった。もともとパソコンでワードやエクセルがちょっと使える程度だったから、苦手意識もありましたし。CADは慣れるまで時間かかりそうだな、と思いました。けど操作というか、物件の作り方というのはわりとわかりやすかったです。3Dでこう立体的に見れるんですね。その時「あ、これは模型と同じだ」と思いました。だから寸法を細かく入力する必要があるし、模範のかたちになるようにしないといけないんだなって。操作の方も何回も何回もやっているうちにようやく慣れました。人間ってえらいもんで、やっぱ繰り返してやってることは慣れるんですね。 
RIK
受講後、息子さんのお手伝いはできてるんでしょうか。
田所
最初はね「親父、本当にできるのか」って疑心暗鬼みたいでしたね。あまり凝っていないプランからスタートしました。息子がプランの設計図を持ってきて、僕は家のパソコンでCAD動かしてね。最初は「ここが違う、あれが違う」とダメ出しもたくさんされました。でも息子も諦めることなく、ちょこちょことプランを預けてくれるようになってきました。今では週2件くらい任せてくれるようになりました。一応、役に立てるようになってきてるとは思います。息子も一応「助かってる」と言ってくれるし、それに何より自分が楽しいです(笑)まさかこんな余生の過ごし方になるとは予想外でしたが、楽しいです。 
RIK
うーん、息子を支える父の愛ですね~。これからも頑張ってください!

 


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