ユニマットリックではエクステリア業務のミス・ロス・ムダを削減するために、エクステリアのDX化に取り組んでいます。そこで第一弾のサービスとして、エクステリア工事の物件情報をクラウドで一元管理できる「OPEN  EX物件管理」( https://open-ex.jp/ )を2023年12月20日にリリース。今回、このリリースを記念して、2024年2月8日(木)にエクステリア業界のDXについて考えるオンラインセミナーを開催しました。

当日は住宅業界のプロ向け専門メディア「新建ハウジング」「リノベーションジャーナル」の発行人である三浦祐成さん(株式会社新建新聞社 代表取締役社長)をお招きし、住宅業界で進んでいるDX化の現状をお話しいただきました。また、セミナー後半は小松正幸(株式会社ユニマットリック代表取締役社長)とのトークセッションを行い、エクステリア業界のこれからのDXについて考えました。

エクステリア業界の先をゆく住宅業界のDX

人手不足や資材高騰の影響を受け、市場縮小の苦境に立たされている住宅業界。国土交通省の調べによると、2001年には38万戸ほどだった新築注文住宅の着工戸数は、2023年に23万戸割れとなりました。人口の減少に伴い、住宅業界の不況はこれからも続いていくと予想されています。さらに、住宅と密接に関わるエクステリア業界にもその影響は広がりつつあります。この不況の中、住宅業界ではどのようにDX化が進んでいったのでしょうか。

住宅DXその① 電話やFAXでのやり取りをやめる

少し前の住宅業界では、電話やFAXでのやり取りが主流でした。しかし、電話・FAXはミスが起こりやすいほか再確認が必要なケースが多いため、時間のムダや品質の低下が課題となります。そこで業界がはじめに行ったのは、電話・FAXでのコミュニケーションをやめること。代わりにチャットツールを使うことで、コミュニケーションのスピードと量が驚くほどアップしたといいます。三浦さんは「業務のムダやトラブルの9割はコミュニケーションに起因していると思っています。電話・FAXの方が楽という思い込みを見直すことが、トラブルの減少やホワイト化につながるのではないでしょうか。」と話しました。

住宅DXその② クラウドを活用して「伝える・届ける」から「全員で取りに行く」へ

次に住宅業界で進んだのがクラウドサービスの活用です。これまでは現場監督が現場入りの時間を伝えたり、図面や工程表を届けに行ったり、職方には現場の進捗・完了を写真に撮ってメールしてもらったりと、わざわざ時間をとって「伝える・届ける」作業をする必要がありました。しかし、いまは未曾有の人手不足社会。品質を保ちつつ1人で多くの現場を管理しなければなりません。そこで、現場監督の負担を減らせば生産性の向上と品質維持につながると考えた業界は、ネットワーク上で図面・写真や工程表を共有できるクラウドサービスを打ち出しました。そうして「伝える・届ける」から「全員で取りに行く」業務の形が実現されたといいます。当日は住宅業界で浸透しているクラウドサービスの活用例をご紹介いただきました。

DXを活用して少数精鋭&高付加価値の仕事を

三浦さんはエクステリア業界のこれからを考える上で、粗利ではなく付加価値と言いませんか、と提案。「粗利と言うと業者や資材メーカーを叩いて原価を下げようという意識になりますが、付加価値と言うと価値の高いものを提供しようと直感的に思えるんです。」と話しました。少数精鋭で業務をこなしていくためには、付加価値の高い仕事をすることが大切だといいます。

付加価値の高さはいくつかの強みを重ねることで生まれます。例えば家づくりの場合、性能、設計力、コンテンツ力の3つの強みをそれぞれ10社に1社のレベルまで磨くと、10×10×10=1000社に1社の存在になることができます。住宅業界ではすでに5つのP ①Purpose(志、目的、構想)②Principle(流儀、原則)③People(ひと、特殊知識・特殊スキル、意思・姿勢、カルチャー、コミュニティ)④Product(商品、建築)⑤Process(プロセス、現場、アフター、顧客対応、コミュニケーション)が強みになりつつあるようです。住宅業界における強みが、今後のエクステリア業界での強みになる可能性は十分にあります。エクステリアにおける強みは何なのか、それをDXで実現できないか、ぜひ皆さんも考えてみてください。

DXのメリットを最大限に引き出すコツ

また、当日はDXによって得られるメリットもご紹介いただきました。三浦さんが思うDXのメリットは次の3つ。

①生産性が向上する

電話やFAXならではのトラブルがなくなり、結果的に少数精鋭につながる。また、エクステリア業者と、それを支える問屋・メーカーの両者が楽になるシステムを導入することで、深い協力関係を築くことができる。

②コミュニケーションの量と質が高まる

社長の考えが社内に伝わり、誰がどの業務を行なっているかを漏れなく把握することができる。

③できなかったことができるようになる

DXにおける最大のメリット。動画マニュアルの共有やチェックシートの活用により確実な仕事を促すことができるため、今までよりも新しい事業を始めるハードルが下がる。

「これからエクステリア業界はいろんなことにチャレンジする時代になると思います。それを誰がやるのか、どうやってやるのか、その問題を解決するためにはDXが必要です。DXを使って苦しい状況をいかに有利な展開に持っていけるかを考えてほしいです。」と三浦さんは話しました。

では、DXを成功させるためには何をすればよいのでしょうか?

DXの最終地点は業務をマニュアル化・チェックシート化すること。そのためには、理念やコンセプト、標準(化)などを前もって決めておく「前定義」が必要です。属人的な業務を洗い出し、誰でも理解できるように整理してからDXに落とし込む。一見面倒に思われるこの作業が、DXを成功させる重要なポイントです。

前定義ができたら、DXの目的を明確にして、いよいよツール・システムを導入します。しかし、新しいツールやシステムの定着には時間がかかるもの。三浦さんはさまざまなハウスメーカーや工務店を見てきた中で、「社長のやりぬく力」の大切さに気づいたといいます。「社長が決めさえすれば、全員が使うようになる。社長がやりぬく覚悟をして、しつこく言い続けて、稼働率100%にもっていくことが大切です。」と話しました。

トークセッション:エクステリア業界のこれからのDX

TKCを利用している造園工事事業者のうち、黒字企業は69.9%。しかし、一人当たり限界利益(粗利)は8365千円、一人当たり人件費(給料)は4808千円と、他業界に比べてまだまだ低いのが現状です。このまま人件費を減らし続けると、仕事のモチベーションが維持できず、業界から人が離れていってしまいます。 「善い人が活躍できる業界をどう作るかが、DXの裏側にある課題だ。」と語る三浦さん。DXに投資することと人に投資することは同義であるといいます。後半のトークセッションでは、DXをする上でのエクステリア業者のあり方について話し合われました。

小松:住宅業界は非常に厳しい状況にあり、これからもその状況は続いていくと思いますが、エクステリア業界も同じです。先ほど「3つの強みを掛け合わせる」と仰っていました。1000分の1ってすごいですよね。1つは設計力、もう1つは施工力。もう1つはなんだろうとずっと考えていました。

三浦:私はビジュアライズして見せる力、リアルな体験を提供する場が大事だと考えています。もっと施主に価値を伝えることってできるんじゃないかなと。例えば、庭のプレゼンをもっとリアルな体験にできれば良いですよね。住宅ではモデルハウスや見学会がありますが、エクステリアにもそういったものはあるんでしょうか?

小松:まだ少ないですが、増えつつあります。リアルな体験でいうと、リゾート化したお庭を時間貸ししたり、外にサウナを作って体験をしてもらったり。今は住宅が快適になりすぎて庭に目が向かなくなっているので、DXで新しい価値を伝えていくことができれば、強みになるかもしれないですね。
小松:施工管理で利用しているツールを見てみると、41.55%もの企業がホワイトボードなどのアナログで管理しているようです。しかし、アナログ管理では他者に共有できない、会社に行かないと確認できない、といった問題があります。また、業務の定型化・標準化ができていないので、従業員の採用や定着率にも影響を及ぼしています。今はメーカーや問屋、専門店でも、特に若い人から辞めてしまうんです。

三浦:そこは住宅業界も同じです。ものづくりに対してはポジティブなのに、DXしていない会社が多い。働けど働けどみたいな状況に絶望して、待遇の良い会社に移ってしまいます。悲しいことにハウスメーカーの方がDX化に対応していて給料も高いので、工務店を辞めてハウスメーカーに移る人も増えていますね。

小松:なるほど。エクステリア業界にはハウスメーカーのような立ち位置がないので、何社か転々とした後に、結局業界から離れてしまうという事例は聞いたことがあります。

三浦:逆に言うと、DXをきちんとやりながら働き方を変えていくと、善い人が集まるというのもあると思います。流動的な人の動きを逆手にとって、善い人を集めるチャンスだと捉えることもできますね。

設計や集客・営業など、売りにつながりやすいDX(攻めのDX)の方が注目されがちですが、実は採用・教育や現場管理といった見えない部分のDX(守りのDX)を強化することが、経営に大きく関わると三浦さんは話します。また、守りのつもりでやっていたDXが、いつの間にか攻めに転じることも。どのDXをいつ導入するのか、見極めが大事だと感じました。

エクステリア業界の次世代クラウドサービス「OPEN  EX」

DXに危機感を持っていただいたところで、エクステリア業界に特化したクラウドサービス「OPEN EX」をご紹介します。OPEN EXはクラウド管理による業務改善でミス・ロス・ムダを削減するオープンクラウドシステム。2023年12月20日にリリースされた第一弾は「OPEN EX 物件管理」です。顧客・物件ごとに図面や写真を一元管理することで、協力業者や施主、問屋への共有をスムーズに。また、誰でも直感的に使えるシンプルなデザインも魅力の1つです。

・前に共有してもらった現場の写真が見つからない。

・図面の修正を連絡したのに伝わっていなかった。

・担当者でなければ工事の進捗状況がわからない。

こんなお悩みはありませんか?

業務のミス・ロス・ムダは単に作業効率がダウンするだけでなく、クレームや満足度の低下にもつながります。OPEN EXを活用して、少数精鋭&高付加価値を実現しましょう!最大5名まで無料で使えるプランもありますので、まずはフリー版で使用感をお試しください。

OPEN EXの詳細はこちら(https://open-ex.jp/)からご覧いただけます。