土木建設・エクステリア外構業のDXを加速させる“点群データ活用”

人手不足、熟練者の高齢化、現場管理の複雑化。土木建設業界・エクステリア外構業界が抱える課題は年々深刻になっています。こうした課題を解決する切り札として注目されているのが「点群データ」を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)です。点群データは単なる測量技術ではなく、現場の“見える化”と“判断の高速化”を実現する技術です。
目次
1.点群データとはなに? なぜDXにつながる?
2.点群データ測量ができるアプリや専用スキャナ
3.点群データ測量&活用に必要なノウハウ
4.点群データ活用で業務効率はどれくらい上がる?
5.点群データ活用は「測量の進化」ではなく「業務の再設計」
点群データとはなに? なぜDXにつながる?
点群データとは、iライダースキャナー搭載モデルのPhoneアプリや、専用のレーザースキャナ、ドローン等で取得した空間内の位置情報(XYZ座標)を無数の点として記録した3Dデータです。

▲点群データイメージ
点群がDXに直結する理由
・測量士がいなくても精度の高い測量が可能になる
・図面、写真では伝わらない凹凸・高低差・既存構造物を再現できる
・瞬時にデータ化でき、クラウドに保存。チーム内でのデータ共有が簡単にできる
点群データは、現場で手作業でおこなっていた作業をデジタルに直結させることで、かなりの業務効率の促進になります。
点群データ測量ができるアプリや専用スキャナ
簡易的に取得するなら、LiDARスキャンが搭載されているiPad/iPhoneのアプリ(Scaniverse等)を使用するのが手っ取り早いです。ただ、測量できる範囲が4~8mと狭く、誤差も10数cmほどでてしまうこともあり、高精度とはいいがたいのが難点です。
地上型レーザースキャナや、LRTK Phoneなど専用のスキャン機器は高精度で、測量範囲が60mまでと大規模で外構や土木建設に向いています。
ドローンを使用しての測量は、かなり広範囲で測量できるので造成地などに向いています。
点群データ測量&活用に必要なノウハウ
点群測量のノウハウ
◆スキャン方法によって変わる測量精度
例えば、無料のiPhoneアプリなどのサービスの場合は測量できる範囲が、4~8mとなり何度かに分けて測る必要があります。専用機器の場合ですと、60mまで測ることができ一度の測量で大体の物件は測定することができます。200mまで一気に測れるスキャナもありますが、かなり高価になります。
◆欠測が起きやすい箇所(植栽、ガラス、水面など)
透明部分は欠測が起きやすい箇所になるので、注意が必要です。
◆外構特有の「狭さ・高低差・既存物」の扱い
外構部分を測量する場合、既存の住宅やポーチ、境界塀などの既存物が存在していることが多いかと思います。精度の低い測量サービスでは既存物部分の測定があまく、結局正確な数値が計れず実測が必要になる恐れもあるので、精度の高い機器やサービスを利用した方が良いでしょう。
点群を“使えるデータ”にする編集ノウハウ
取得した点群は、そのままでは重く扱いづらい場合が多いですので、データを編集する必要があります。編集に関しては、専用のソフトウェアがリリースされていますので購入するorサービスに加入するか、専用機器の場合は付属で編集ソフトがある場合もあります。
点群データ編集には以下のことが必要です。
・ノイズ除去(車・人・不要物)
・範囲トリミング
・地面、構造物の分類
・CAD/BIM向けデータ変換
編集で大事なのは“現場を理解している人が編集すること”です。せっかく取得した現場の測量データの必要部分を削除してしまっては、元も子もないですよね。
点群×CAD/設計の連携ノウハウ
エクステリア・外構業でDX効果が最大化するのはこの部分が大きいかと思います。
・現況測量 → 点群 → CADにそのまま取り込み
・高低差を見ながら擁壁・階段・スロープ設計ができる
・既存構造物を壊さずに干渉チェック
ここで大事なのは測量、編集した点群データを過不足なく、きちんとCADに取り込めること! せっかく高精度の点群データを測量し、編集してもCADに取り込んで設計に活かせないのであれば、DXとはいえません。

▲CADで点群を確認しているイメージ画像
点群データ活用で業務効率はどれくらい上がる?
現地での測量(範囲の差は物件によって違いますが)3~6時間、手作業でやっていたことを、数十分程度で一括スキャンできます。さらに測量のミスによる、現地での再確認が不要です。さらに、高低差のミスや既存物との干渉チェックミスも抑えることができるので、少なく見積もっても50%以上効率はアップするはずです。
点群データ活用は「測量の進化」ではなく「業務の再設計」
点群データの活用は、単に「最新のデジタル技術を導入すること」や「流行りのDXをやっている感」を出すことではありません。本質は、これまで当たり前だった仕事の進め方そのものを見直し、再設計することにあります。
・現場に行く回数を最小限に抑える
・設計に必要な情報を、その場で即座に確認できる
・設計・施工・打ち合わせの判断をスピーディに行う
といった、業務の流れそのものの効率化が可能になります。
これは単なる「作業時間の短縮」ではなく、人が本来やるべき仕事に、きちんと時間を使えるようになるということです。
たとえば、
・お客様への提案内容をじっくり検討する
・仕上がりや使い勝手を考えた設計に集中する
・若手の育成や品質向上に時間を割く
こうした 「人にしかできない判断や創造の仕事」 にリソースを振り向けられるようになります。
特に、エクステリア・外構業は点群データとの相性が非常に良い業界だと言えます。
・現場条件が一件ごとにまったく異なる
・敷地の形状、高低差、既存建物や構造物が複雑
・図面だけでは把握しきれない要素が多い
という特徴を持っているからです。
外構工事では、「現地を見ないと分からない」「やってみないと判断できない」とされてきた部分が数多く存在します。点群データは、そうした曖昧さや属人性を減らし、誰が見ても同じ現況を共有できる状態をつくります。
点群データ活用は、エクステリア・外構業の仕事を「経験と勘に頼る世界」から「情報を共有し、判断を積み重ねていく仕事」へと進化させるための土台です。だからこそ、点群データ活用は 単なる技術導入ではなく、仕事の再設計=DX なのです。
