2025年7月1日にJPタワーホール&カンファレンス(東京)で開催された「RIK SQUARE! 2025」。本レポートは、当日の様子を3回に分けてお届けする第2弾です。今回は、非住宅領域の可能性を探る講演と、注目を集めた「Canva活用セミナー」の模様をご紹介します。

目次
空間デザインのプロに学ぶ、非住宅市場の可能性とは
 |-株式会社船場の空間づくりとエシカルデザイン
 |-屋外空間を含むパブリックスペースを重要視。広がる可能性
 |-異業種コラボレーションによる可能性
 |-施設に自然環境を取り込むデザインの重要性
 |-エクステリア業が非住宅領域へ進出するには、どこに営業すべき?
 |-非住宅領域へ進出して成功の可能性はあるか
実践セミナー “Canva活用セミナー”
 |-エクステリア業務に、話題のCanvaをどう活用するか?
 |-無料で直感的に使える上にインストール不要
 |-レイアウトだけではなく各種編集・動画機能も大充実
 |-一瞬で見栄えをよくする素敵なテンプレート。注意すべき点は…

空間デザインのプロに学ぶ、非住宅市場の可能性とは

セミナー(2)「空間デザインのプロに学ぶ、非住宅市場の可能性とは〜エクステリア、住まい産業における非住宅市場の事業領域を考える〜」と題して、小西 龍人 氏(株式会社船場 EAST事業本部 PPP綜合開発研究所 プロジェクトディレクター)と筒井 秀明 氏(株式会社ANDas 設計本部 東日本グループ 執行役員 副本部長)にご登壇いただきました。

冒頭、ユニマットリック小松より、非住宅領域におけるエクステリア業界の事例を紹介しました。

株式会社船場の空間づくりとエシカルデザイン

船場は大型商業施設からオフィス、教育、ヘルスケア、ホテル、余暇施設まで多彩な分野で国内外に事業を展開。「未来にやさしい空間を」をミッションに、空間づくりの全プロセスを一貫してサポートしています。また、未来のためエシカルデザインを推進するために“エシカルデザインラボ”を運営し、様々な企業から情報を収集し、再生資源の活用方法などを研究しています。

小西:エシカルデザインラボでは、屋外空間の設計・施工における共創パートナーを募集しています。ぜひ、ショールームに足をお運びください。

屋外空間を含むパブリックスペースを重要視。広がる可能性

小西:屋外空間に東屋を設けるだけでも、過ごしやすく魅力的な場所へと変化します。人々が心地よく過ごせる広場や子どもが遊べる遊び場、屋外空間などパブリックスペースは重要視されています。今後も、こうした屋外空間を含むパブリック機能の可能性は大いに広がっています。また、公民連携によるプロジェクトも全国的に増加しています。公民連携のプロジェクトにもビジネスチャンスがあると考えています。地域に根ざした企業や組織が関わっている場合は、プロジェクトの初期段階から参加できるとより理想的です。場合によっては、ネーミングライツの権利を取得して参画するという手段もあります。

異業種コラボレーションによる可能性

元は船場に勤めていた筒井氏。船場では内装を担当していましたが、外部空間の仕事がしたいと思うようになりANDas(アンダーズ)に転職。

筒井:ANDasでは異業種との“掛け算”によるコラボレーションに力を入れています。さまざまな繋がり(and)を大切にし、次世代への架け橋となれる企業を目指したいと考えています。主に商業施設や宿泊施設の実施設計・プロデュースに携わっています。

施設に自然環境を取り込むデザインの重要性

筒井:最近の代表的な事例に、京都・るり渓の宿泊施設(京都るり渓温泉)があり、トータルな空間デザインを手がけました。ANDasでは外構・ランドスケープ・造園分野のパートナーを常に探しています。というのも、クライアントの多くは自然を取り入れたデザインを好む傾向があり、さらに外部空間の充実は商業施設の差別化にもつながるためです。

エクステリア業が非住宅領域へ進出するには、どこに営業すべき?

ここからはユニマットリックの小松を交えて3人でのトークセッションに移ります。
「エクステリア・外構業者が非住宅分野でへ進出する際、どこへ営業に行けばよいか」というユニマットリック小松の質問に対して、小西氏は「営業先は無限にある」と語ります。ただし、やみくもに営業をかけるのではなく自社の持っているネットワークや、ターゲットとすべき4つのセグメントなどを参考にし、戦略的に選定することが重要だとしました。

筒井氏は、近年人気が高まりつつある“ヴィラ型ホテル”について言及。住宅に近い設計構造であるため庭の手入れや商品のセレクト、設計力など、エクステリア・外構業のノウハウが活かせる場面が多く、業界の横断的な連携が可能だと述べています。

非住宅領域へ進出して成功の可能性はあるか

「非住宅分野へ進出して成功の可能性はあるのだろうか」というユニマットリック小松の質問に対して、小西氏は「おおいにあります。」と答えました。
「同質化が進む施設が増えており差別化が難しくなっています。パブリック空間である外空間をいかに活用し、魅力的に見せるかが問われており、その実行力を持つパートナーの需要は日に日に高まっています。」(小西氏)

筒井氏も「建築・内装・外構業者が横並びで連携し、特にプランニングの段階から参画することが、今後の可能性を大きく広げる鍵になります。」と答えました。

小西:非住宅分野へ進出して成功の可能性はあるのだろうか」というユニマットリック小松の質問に対して、小西氏は「おおいにあります。」と答えました。
「同質化が進む施設が増えており差別化が難しくなっています。パブリック空間である外空間をいかに活用し、魅力的に見せるかが問われており、その実行力を持つパートナーの需要は日に日に高まっています。

筒井:建築・内装・外構業者が横並びで連携し、特にプランニングの段階から参画することが、今後の可能性を大きく広げる鍵になります。

両者とも事例を交えながらの講演発表でとてもわかりやすく、参加者の皆様も熱心に聞き入っていました。お二人ともが「共創パートナーの不足、需要が高い」と明言されたことについて、参加者の多くが非住宅分野への可能性を感じたようでした。

実践セミナー「Canva活用セミナー」

ホールBでは、実践セミナー「Canva活用セミナー」(RIKCAD×OPEN EX×Canva連携の可能性)」と題して藤﨑 香奈子 氏(エクステリア&ガーデン設計室coniwa 代表)を講師に迎えたセミナーが行われました。進行は渡辺 真由(ユニマットリック 商品開発グループ)が務めました。

エクステリア業務に、話題のCanvaをどう活用するか?

藤崎氏が会場の参加者に「Canvaを使っているか」と尋ねたところ、約2~3割の方が手を挙げました。つまり、使用者はまだ少数派と言えます。藤崎氏自身は、チラシやプレゼンボード、動画などを主にCanvaで制作されており2023年のRIKコンテストでプレゼン大賞を受賞した作品もCanvaで作成されたもの。

RIKコンテスト2023 プレゼン大賞「アトリエのある家」

RIKコンテスト2023 プレゼン大賞 “アトリエのある家”

無料で直感的に使える上にインストール不要

特徴は「無料で使える」「直感的に操作できる」という点を挙げました。インストール不要でウェブ上からログインするだけで利用できる点も魅力です。デザイン初心者でも扱いやすく、テンプレートの種類も非常に豊富で、「ナチュラル」などのキーワードで検索すれば、グリーン系の爽やかなデザインなども簡単に見つかります。有料版のCanvaプロも月額1,180円、年額の場合は11,800円(※2025年7月時点)と導入のハードルも低め。現在、ユニマットリックもSNS投稿やweb画像、チラシ等でCanvaを活用(組織向けのCanvaチームスを導入)しており、テンプレートを共通化することでチーム内の品質を保ちつつ効率化を図っているとユニマットリック渡辺が解説しました。

レイアウトだけではなく各種編集・動画機能も大充実

また、Canvaでは画像の明るさ調整や背景の切り抜きといった編集も可能(※背景切り抜きなど一部機能は有料)。「マジック消しゴム機能」を使えば、写真から不要な要素を簡単に消すこともできます。さらに、フィルター加工やオートフォーカスといった機能も備わっています。動画編集にも対応しており、作成した動画のアップロード、速度調整、つなぎ合わせなども簡単。動画のつなぎ目に「ディゾルブ」エフェクトを用いると、自然で柔らかな印象に。もちろんBGMの追加やテキスト挿入も可能で、他の動画編集ソフトに比べて操作がシンプルだと藤崎氏は述べていました。Canvaは、レイアウトだけでなく、画像編集や動画編集まで幅広く対応しており、業務効率やクオリティの向上が期待できます。

一瞬で見栄えをよくする素敵なテンプレート。注意すべき点は…

藤崎氏はテンプレート使用に関して注意点も指摘されました。

藤崎:テンプレートは一瞬で見栄えを良くできますが、提案したい内容と必ずしも一致するとは限りません。たとえば、直線的なデザインを意識してプランニングしたエクステリアパースに、曲線を多用したテンプレートを使用すると違和感を覚える可能性があります。逆に直線系のテンプレートを合わせても何だか合わない…ということも起こります。そのため、テンプレート選びの審美眼も必要です。

最後に藤崎氏は、「Canvaは優れたツールですが、一番大事なのはお客様に“何を伝えるか”であり、Canvaはあくまで道具のうちのひとつです。」と締めくくりました。

※RIK SQUARE! 参加者には、ユニマットリック特製のエクステリア提案資料作成用Canvaテンプレート(2種類)をプレゼントしました。


次回のレポート(Part.3)では、「RIKコンテスト2025授賞式」や「E&GアカデミーOB交流会」の様子をお届けします。

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