“あの人の妄想ガーデン” vol.1タブラ奏者U-zhaan(ユザーン)さん


外構や庭には住まう人の個性がでます。車が好きならガレージ優先だったり、ガーデニングが好きなら広いレイズベッドは外せなかったり。最近ではアウトドアリビングも大人気です。「外部空間をどう活かすか」は多くの人にとって興味があることだと思います。「もし、あの人だったら一体どのようなお庭やガーデンにするだろう?」という興味本位からスタートしたのが本企画「あの人の妄想ガーデン」です。

第一回目の「あの人」は日本を代表するタブラ奏者・U-zhaan(ユザーン)さん。ユザーンさんといえば、やっぱりインド。そしてカレー。ユザーンさんに「理想のガーデンのアイデア」を出していただき、ガーデンプランナーがプランニングしてRIKCADでパースを作成。出来上がった架空のプランのパースを見ていただきました。


——まず出していただいたアイデアが「オープンエアなキッチン・タンドーリ釜・外で使えるダイニングテーブル・ハーブ園・修行部屋・大きな常緑樹」ということで…。架空のプランを作成してみました。

——こちらがガーデンのエントランスです。

ユザーン「おー! すごいですね。」

——入って、左手側がご希望のオープンエアキッチンです。洗い場があってガスの調理器具があって、ご所望のタンドーリ釜が一番奥に。その隣は薪火でカレーなんかを作るスペースですね。

ユザーン「うーん、薪のほうはいらないかな」

——なんでですか!?

ユザーン「いや、だって隣にガス器具があるんですよね? そんな場所で、あえて薪を使うような気概を自分が持ち合わせてるとは思えなくて。タンドール釜も薪なんですか?」

——薪というか、炭を入れる感じになってますね。

ユザーン「それもガスにしてもらえませんかね(笑)。炭火は遠赤外線の量も多くて美味しくなるかとは思うんだけど、自力で備長炭に火をおこして使うのはかなりハードル高そうで。年に1回とか、3年に1回とかしか稼働しなくなっちゃいそう。」

——違う角度からみたところです。ウッドデッキでちょっとした演奏会ができるようにしました。

ユザーン「そうなんだ。でも、ステージだいぶ狭いですね。2人は乗れないくらい。」

——言われてみれば…。タブラ奏者しか乗れませんね。

ユザーン「インド古典音楽を演奏するなら、最低2人乗れればいいんですけど。」

——2人はちょっと厳しいですね。

ユザーン「無理して並んで座ると、演奏中のシタール奏者の落下ショーが見れちゃうかもしれませんね。

——雨に濡れても大丈夫なファニチャーがほしいということでしたので、メッシュタイプの錆びない、蒸れない、乾きやすいファニチャーです。

ユザーン「それはいいですね! 出しっぱなしにしておきたいし、手入れも少なく済む方が助かります。」

——こちらがハーブ園、家庭菜園コーナーです。遠隔で操作したいっていってたんですけど、自動のスプリンクラーが備わっています。

ユザーン「嬉しいですねー。でも、散水時間を設定するだけだと雨がじゃんじゃん降ってる日も作動しちゃうのかな。スプリンクラーが不要な日は遠隔でオフにできる機能があるといいけど。」

——今、ハーブとか育ててます?

ユザーン「鉢植えのカレーリーフが部屋にあります。カイガラムシが発生しちゃってるんですけど、カイガラムシってよく食品添加物として着色料に使われたりしてるじゃないですか。だからきっと口に入っても害はないんだろうと信じて、洗って食べちゃってます。

—–ワイルド。風味は落ちないんですか?

ユザーン「どうでしょう、多少は落ちてるのかもしれません。」

——次が修行部屋です。修行に集中できる6畳ほどの小屋を庭の敷地に建てました。

ユザーン「なかなか広いですね。6畳もあるなら、簡単なリハーサルとかもできるな。」

——で、修行に疲れたらハンモックで休んだり…

ユザーン「ハンモックは早急に取っ払うべきですね。さもないと、ただの昼寝部屋になっちゃう。もう少し居心地を悪くした方が、修行部屋としては良さそう。」

——もっと居心地悪い方がよかったですかね?窓もなくしたんですよ、でもあまりにも独房みたいなのもどうかと思って地窓にしたんですよ。ちなみに冷蔵庫も完備です。

ユザーン「地窓は嬉しいけど、広さはやっぱり3畳くらいでいいかと。冷蔵庫もあるんですね。うーん、ちょっと快適すぎるかな。というか、冷蔵庫よりはトイレがほしいです。」

——あ、そうですね、水回りがあった方がいいですね。

ユザーン「トイレは外からも入れるような構造にしておくと、ガーデンパーティーをする時にいいかも。なんだかこうやって話してると、大邸宅を建てるプランの打ち合わせをしてる大金持ちみたいな気持ちになってきますね。

——たしかに。都内で建てようと思うと、とんでもないお金持ちしか無理ですね。

(もう一度プランパースを見直しながら)
ユザーン「ステージは改めて見てもやっぱり狭すぎるけど、その前にまず自宅の庭にステージを作るってどうなんでしょうか。この家に来るとタブラの演奏きかなきゃいけない、みたいに思われそう。

——強制的に(笑)。

ユザーン「来客がなくなっちゃいますよ。デッキの高さはタブラにちょうどいいんですけどね。」

——修行部屋が欲しいってことだったんですけど、どれくらいタブラの練習するんですか?

ユザーン「時間のある限りしてますよ。タブラに触ってるのって、単純に楽しいんですよね。楽しいからつい練習しちゃう。

——やっぱりタブラが大好きなんですね。今回パース作成にあたって、タブラのモデリングデータがあるのか、ないなら作らなきゃって思ったんですけど(データ配信サイトで)検索したら配信されてました。世界の誰かがタブラの3Dデータをつくって配信してるんですよね。

ユザーン「タブラまで3Dモデリングデータになっている時代なんだ。きっとインドの人が作ったんでしょうね。」

——話が変わりますけどこの間、石濱匡雄さん※の教室でチャーカー食べた時にユザーンさんの話題になりました。ご自身でチャーカー作って食べてるらしいって。
※大阪在住のシタール奏者。シタール教室の他に料理教室も開催。2019年にユザーン監修の”ベンガル料理はおいしい“というレシピ本も出版。

ユザーン「あー、チャーカー・ラボン。石濱さんが去年ベトナムのハノイに遊びに行ったらしいんですけど、そこでめちゃくちゃおいしい料理に出会ったって言ってて。それってもしかしてチャーカーじゃない?って彼に聞いたら、やっぱりそうだったんですよ。僕も一昨年ハノイに行ったときあれにやたらハマってしまい、日本へ帰ってからも何度か自分で作りました。ベンガル料理好きの人の琴線に触れる味なのかもしれないな。ターメリックに漬け込んでおいた魚を揚げ焼きにする、ってベンガル料理の手法ですもんね。石濱さんのチャーカーにはディルもきちんと入ってました?」

——ディルめちゃくちゃたくさん入ってました。あんな量のディルを見たのは生まれて初めてでした。

ユザーン「ディルを食するための料理だとも言えますよね。なんだか食べたくなってきちゃいました。あれは本当に素晴らしい料理。

——今回のプランの中で一番お気に入りの点ってどこですか?

ユザーン「菜園かな! それこそ、ここでディルとか育てたいです。今回のプランの中で、菜園はそれほど重要視していたスポットではなかったんですけど、できあがったパースを見たらワクワクしちゃいました。雑多に生えてる感じがいいですね。新鮮なハーブがいろいろ生い茂ってたら、見るだけでその日の献立がいろいろ思い浮かぶかも。菜園は苦労なく気持ちを豊かにしてくれそうな感じがする。でも、オープンキッチンもいいよなー。以前、南インドのチェンナイで料理教室に行ったことがあるんですけど、その時の先生が『天気がいいから』って外で教えてくれたんですよ。晴れた日に、青空の下で料理をするのって本当に気持ちが良くて。空の下で食事をするのと同じように。

——いいですね。やっぱり食って大事ですね~。

ユザーン「そして、最も必要ないのはステージ。これがあることによって、逆に人を呼びにくいですよ。常に演奏を披露したいタイプの人間だと思われそうで。」




いかがでしたか? 思わず美味しいものの話に脱線しがちでしたが、ユザーンさんの「菜園は苦労なく気持ちを豊かにしてくれそうな感じがする」という一言にハッとしました。エディブルガーデンの素晴らしさは自分の手で育てて、食べたいものを思い浮かべて料理する。とてもクリエイティブな根っこにあるのだなあと感じました。この記事を読まれた皆様にもぜひ「自分の理想のガーデン」を妄想して楽しんでほしいです!「いつかお庭をつくってみたい」という気持ちがどなたかの心に芽生えたら嬉しいです。


◆U-zhaan オフィシャルサイト  /  ◆設計・パース作成 RIKCAD