建築×庭×エクステリアが創るこれからの住まい【セミナーレポート】


2019年9月4日に開催されたセンスオブリゾート1周年記念セミナーの模様をレポート!センスオブリゾートは「日常と自然をつなぐガーデンファニチャーのある暮らし」を提案している岐阜県の会社です。今回の1周年記念セミナーは岐阜で活躍するGA設計の玉木直人氏と造園家・園三の田畑了氏をゲストの招いてのセミナー。お二人はよくタッグを組んで住まいの提案をしています。建築と庭をどんな風にコラボレーションさせて豊かな住まいの提案をしているのか、事例を交えながら解説。コーディネーターはグランフェイスの大熊一幸氏。セミナーの内容を抜粋してご紹介します。


玉木「この度はセンスオブリゾート様、1周年おめでとうございます。このような晴れの場に講師としてお招きいただきありがとうございます。僕は元々、緑が大好きなんです。建築は緑で覆われ、見えなくなる方がいいと思っているくらいです。僕は設計をするときに、基本的に「緑の場所」から考えます。それは、建築は3割は街のモノだと思っています。だから、緑を植えて街に開かれた場を作ることを頭においています。」

玉木「事務所とその裏手に自宅があるのですが事務所も自宅も緑に覆われています。トトロに出てくる家のような住宅をつくりたかったんです。緑がメインの家。邪魔だと思うくらい緑を植え続け、増やし続けています。僕の家は壁面緑化もしています。緑は季節によって変化する、心がリセットされるものです。夏には夏の冬には冬の景色を見ることで、春の心、夏の心、秋の心、冬の心持ちになれる。緑の一番の効果だと思います

↑まるで森のようなGA設計の事務所

田畑「玉木さんは本当に植物が好きな方で。玉木さんと仕事する上で感謝しているのは住宅の設計の段階で、緑を植える場所を最初から確保してくれていること、緑の場所をつくってくれることです。」

玉木「基本的には住宅の設計の段階でここに木を植えたいなというイメージがあって、家の中に木漏れ日を入れたいとおもいながら設計しています。ただ僕は植物に詳しいわけじゃないから植物のセレクトはすべて園三さんにお任せしています。(岐阜県内・名古屋などの)住宅はわりと閉鎖的でクローズな設計が多いように思いますが、街に開かれた設計を心がけています。

田畑街に開いて、緑の場所をつくる。それが景観になって一軒、一軒が街の景色をつくっていく。それが玉木さんのモットーで、口癖です。」

玉木「こちらの事例は…。家をつくる時は基本はどの方向をみても緑がみえる、という設計にしています。リビングの窓からもダイニングの窓からもどの方向をみても緑が目に入るようにしています。その際、目に入る緑の要素を変えることを心がけます。大きな木を植えたら、逆の窓は水場をつくって植栽して庭の意味や性質が異なるように構成しています。」

田畑「お湯も水もでる土地だったので水場がつくってあります。お子さんが夏場ここであそんでいます。目隠しフェンス、その前に植栽をして水面にかぶるような木やナツハゼなどを植えています。庭に水があるとまた雰囲気がかわり、違った性質が演出できます。」

玉木「こちらは内観ですが…キッチンもオーダーでつくります。タイルを変えるだけで日本的じゃなくなるという例です。また、ダイニングにワークルームをつくっています。部屋を仕切るのではなくキッチンにいながら勉強したり本を読んだり、お子さんが勉強したり。部屋の意味を制約しない、曖昧にすると建築がフレキシブルになるような気がしていて、いいなあと思います。

玉木「続いての事例は南向きに窓があるんですけど、南側にマンションがあったので南は閉鎖的につくり、中庭を多く配置して設計した住宅です。」

田畑こちらも街に開いた形で景観をつくるための庭です。ファサードを素敵にみせるための植栽と、中庭に高木を植えて外側からも中庭の存在をわからせるようにしています。手前に石を張っているのですがこれはジャワ鉄平という鉄平石で、雰囲気がよくなります。玉木さんからは右の木塀のあたりがのっぺりしちゃうので木で立体感を出してバランスをとってよ、という要望をもらったので植栽で立体感を出しました。

玉木「施工から数年経ったジャワ鉄平は汚れてきています。経年により汚れててもきれいなものと、そうでないものとがあります。経年変化と緑がわさわさした感じがいい雰囲気をだしてきて、そういう朽ち方っていいなと思います。

大熊「お二人のやっているお仕事っていうのはいわゆる「エクステリア・外構」とは違うなと感じています。事例の写真を見ていても、建築設計の段階で庭やファサードなどもしっかり計画されている。建物が建ったあとに後付けデザインするエクステリア・外構設計とは主旨が違うというか…。園三さんがセレクトのする植栽の繊細さが建築にとてもマッチしていますね。お二人の作品をみてて疑問だったのはどこまでが玉木さんの指示でどこからが園三さんの領域だという明確な線引きはあるんでしょうか?材料の指定や植木の指定など…。」

玉木「線引きはある程度はあります。ここに木を植えるとこう影が映る、などはわかるのでここには大きい木を植えてねとか、ここは下草で綺麗にしてねとか、ここは水の音を流してね、などそういうお願いはします。その要望にどう応えてくれるか、どんな樹種や材料を選定してどうデザインして叶えてくれるのかは園三さんの仕事です。」

大熊「玉木さんが植物や庭のしつらえが建築にもたらす効果を重々承知だから、そこま設計プランに庭や緑の場所の御膳立てがしてあるというか…」

田畑「そうですね、あらかじめ舞台を用意してくれている感じです。」

大熊「設計プランには庭の面積を大きくとられていますがお客様は敷地いっぱいに建物を建てたいとおっしゃることも多いのでは?」

玉木「そうですね、そういうお客様もいらっしゃいますが基本的には僕の設計は緑ありきの設計なので…。数年経過して景観が豊かな家になり、数年後にやっぱり庭をつくっていてよかった、と言ってもらえることもあります。」

大熊「エクステリア・外構設計は金属やアルミがメインになることが多いのですが、お二人の事例は木質が多くみえるのですが…」

玉木「経年変化を美しくしたいという想いがあって。人間も年とっていくのに家だけがずっとピカピカってのもなにか違和感ですよね。同じように年をとることで親しみがわくのではないかと思います。基本的には既成のものはつかわないように、同じものができてしまうので…なるべくオリジナルのものをつくるようにします。ただ天然素材の木製のものはメンテナンスがかかるので、それを大変と思うのか自分の家に愛着をもってメンテナンスを楽しめるのかは、住まう人の価値観によるところが大きいでしょうね。

田畑「次の事例のサーフィン好きなお客様の住宅です。建物はRCで中庭があります。右手の壁が車庫の壁です。お客様用のアプローチをかねた駐車場のつもりで石畳にしました。」

大熊「園三さんの素材の選び方がすごいなとおもっていて。ラフな感じというかいい意味で雑な雰囲気というか。抜け感やナチュラル感があります。素材の選択や仕上がり感についてルールや決め事などはあるんでしょうか?」

田畑「決め事はとくにないのですが…。お客様がバリが好きな方で。異国な感じにしてねという要望だったのでそれはもちろん念頭において。玄関ポーチのタイルはハンドメイドのタイルを使用してあったので、アプローチの色味をタイルに合わせました。」

玉木「園三さんは下草類の選び方もすごくて。僕なんかだと同じようなもので固めてしまいそうになるんですけど、いい感じの抜け感というか。ラフさのある下草ゾーンに仕上げてくれます。

田畑「下草は日本の自生のものも使いますし、植える場所の特質によっては外来のものを使うこともあります。基本的には常緑でなるべく植え替えのないようにしています。ハーブなども常緑のものが多いです。」

玉木「次の事例の写真に写っているサッシはアルミサッシなんですがアルミサッシってどうしてもデザイン的には鈍るんです。けれど、当然ながら機能性は高いのでお客様の要望によってはアルミサッシを使うこともあります。少しくらい虫が入ってももいいよって場合は木製のサッシを。虫が嫌いなお客様にはアルミサッシ、と使い分けています。」

大熊「我々のエクステリア業界はメーカーが発売しているアルミ型材の門扉やフェンスなどを、購入してつけるという感じなのです。目隠しや防犯上の仕切りなど、建物で出来ない外側のことを補うような仕事です。お客様からは汚れないようにしてほしい、ローメンテナンスがいいという要望が多いです。

玉木僕はあまり建築に奇抜なデザインはしません。飽きてしまって、10年後に古い建築だねっていう見方もでてきちゃうと思うので。スタッフが設計しても僕が設計してもあまり変わり映えがしないような個性がでない建築にしています。建築をシンプルにすると緑の影が非常にきれいに映ります。そして、なるべく有機質なものを取り入れていきたいと思っています。9割の方は既成品やメンテナンスがかからないものの方を好むのでしょう。それでも、残りの1割の方が有機質なものを求めるならそうしていきたいです。経年変化を愛しく思うような、緑に包まれた住宅がやはり一番良いと思っています。


セミナーを拝聴して感じたことはとにかく玉木さんの「緑や自然への愛」です。経年変化や自然の流れを楽しみながら、緑に包まれて生活する。なんと豊かで美しい在り方なんだろうか、と事例を拝見しながら思いました。セミナーの最後にスリランカのジェフリー・バワ設計のヘリタンス・カンダラマに宿泊した思い出を語っていらっしゃいました。蔦に覆われてもはや窓も満足に開かない、それでも美しく自然とともにある建築で一度はみてほしい、と推薦されていました。一度は行ってみたいですよね…。

左から玉木直人氏、田畑了氏、大熊一幸氏、林恵美子氏

センスオブリゾートのショールームではDEDONやタレンティの超絶素敵なガーデンファニチャーを見たり体感することができるのでぜひ足を運んでみてください!

GA設計事務所
園三