CX(顧客体験)と顧客満足度ってどう違う?

住宅産業大予測フォーラム2020のテーマは「CX(カスタマーエクスペリエンス)顧客体験」でしたが、顧客体験と顧客満足ってどう違うのでしょうか?違いはあるのでしょうか?長年「顧客満足度を高めるために」注力してきた企業も多いはずですよね。

〇顧客満足〇
照準:「問題のない」水準
目的:顧客満足の獲得
起点:表面化した顧客の声
単位:部門最適

クレームにならないような水準で満足させ、お客様の声を救い上げそれを担当部門・製品ごとに課題解決にしてきたのが「顧客満足」です。

では顧客体験とは。一番の違いは顧客満足が製品やサービスを「購入してから」「手に入れてから」が前提なのに対して、顧客体験は顧客が製品やサービスに興味を持ち購入しサービスを利用し続けるまでの企業とのすべての接点とその接点を元に顧客が企業を評価すること、が大きな違いです。

〇顧客体験〇
照準:クレームに結び付くような点をつぶす+感動水準
目的:ロイヤルカスタマーの創出(コアなファン化)
起点:表面化した顧客の声+企業の自発性
単位:全体最適

上の特長を見てもわかるように、顧客体験の中には顧客満足は必要不可欠なもので、製品やサービスを通して顧客と関わるというよりも企業として理念や思想を通じて顧客との接点を持つという意識が必要です。昨今、取り組むように政府主導で掲げれらている「デザイン経営」を取り入れて、企業のブランド力を底上げしコトバにならないものをカタチにして、顧客に感動を与えロイヤルカスタマー化していくのも「CX」の一つの手段です。

一つのわかりやすい例でいえばNetflix。もともとはDVDの宅配業でしたがストリーミング再生ビジネスを開始。さらにはオリジナルコンテンツを作成。ネット上での顧客の行動をこまめにチェックし、顧客のためのより良いコンテンツを提供。VOC(顧客の声)を聞きながら、オリジナル・コンテンツを制作することで、顧客体験を高めています。

Netflixやhuluの最大の特長はサブスクリプション。サブスクは一度入ってしまえば自分の意志でサービスを終了するまで恒久的にサービスに加入していることになります。もちろん、サービスに価値を感じなくなると退会する人も多いです。Netflixは新規顧客の獲得と離脱を防ぐために、オリジナルのコンテンツを強化し、さらに「あなたにおすすめのコンテンツがあります」とこまめにリコメンドを送ってきます。

私もNetflixを利用していますが、このレコメンド機能が本当にすごい。自分に関係する事であれば、パーティのような騒がしい中でも聞き取れる「カクテルパーティー効果」を人間が示すことを応用して 、過去に視聴したコンテンツとそれに基づくオススメの作品の表示をwebサイト上でも、メールでもお知らせしてきます。「メールでも送ってくるのか、うざいな」と思ったこともありましたが、単純接触回数が多くなると慣れるものです。そしてヒマでどうしようもない時にたまたまそのメールが届くとやはり目を通すし「じゃあ見てみよう」となるんです。それで見た作品がドンピシャだったら「すごい精度だな」とますますレコメンドを信頼しますし、サービスの価値を感じますよね。

Netflixは極端な例ですが顧客となってくれた人を離さずに、ロイヤルカスタマーにするには製品・サービスの質の向上、質の高い製品やサービスをずっとローンチし続ける事も求められますし、VOC(顧客の声)の収集・分析を常にすることになります。企業にとても大きな努力が求められます。


こちらの「佰食屋」のようにサービス量を固定にし、人材は全てハローワーク利用で人材登用コストを抑えながらも質の高いサービスや価値を提供し、リピーター(ロイヤルカスタマー)を生んでいる例もあるので、やみくもに製品やサービスの質を高上しようとせずとも、企業がCXを成し得るには「なにが一番最適」なのかを明確化する必要があるでしょう。

楽しみなのは、CXを追求しようと頑張る企業の製品やサービスがこれから世の中にどんどん溢れてくるであろうこと。そう考えるとイチ企業で働く自分の仕事も、顧客のCXに即したいと思うのです。