家づくりに色の潜在力を取り入れよう。効果的なカラースキーム。

前回は色がもつ潜在力を利用して、カラーコミュニケーションを取り入れる方法をご紹介しました。今回はそれぞれの色が持つ「性質」を理解して、インテリアのカラースキームに役立てるような「色の豆知識」をご紹介します。

 

◆暖色系の部屋では時間の経過が長く感じられる
時間感覚は色により心理的に影響されます。赤や橙に囲まれた空間では時間を長く感じるのだそう。ピンク系のカーテン、真っ赤なじゅうたん、橙色のソファを備えた部屋で会議をしてもらったところ実際かかった時間は三時間だったのに「六時間ほどかかった気がした」と誰もが答えたそうです。だから時間の経過が長く感じられた方がいい場合、一家だんらんするリビングや、恋人と過ごす部屋、自分でリラックスタイムを満喫する部屋などは暖色系の背景や暖色系の色を多用した方がよく、照明も電球色の方がいいのです
sssss出典:plusone-minamihyogo.jp

 

◆寒色系の部屋は時間を短く感じさせる
逆に青、青緑などを中心とした寒色系の部屋では逆の現象が起こります。実際には1時間ほどしか経過していないのに2時間経経過していた、ということに。ですのでアトリエや勉強するための部屋など集中して効率よく作業したい場に最適です
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◆人間は心で色を受け止める「暖色系」の色を見ると受ける心理効果
黄色や橙、赤色などの暖色系は太陽や火を暗示するので心理的に暖かさを感じさせます。暖色系を見ると実際に身体は温まり体温も上昇、寒色系や薄暗いところでは身体は寒く感じ温度も下がります。いわゆる「体感温度」と呼ばれるものですね。体感温度については様々な実験がされいて、とあるロンドンの工場では女子従業員の欠勤が多く何が原因か調べたところ彼女たちが鏡を見る時その環境下では病人のように青白く映って見えていたことが原因でした。嘘のような話ですが青色光が病気を創りだしていたのです。おまけに壁の色が灰色でした。壁の色を暖色系のベージュに塗り替えただけで青色光は中和され、欠勤は減少したそうです。他にもカフェテリアの温度が高い、という苦情には壁の色を寒色系に塗り替えただけで空調の設定温度はそのままでも苦情がなくなった、という実験もあります。「体感温度」がいかに人体に大きな影響を及ぼすかがわかりますよね。家の中の自分の顔をよく見る鏡などでは血色良く見える照明や環境が必要ですね。

 

◆色によって「軽やかに」もしくは「重厚」に。イメージをコントロールする
白は軽く感じられ、黒色は重たい。結構有名な通説ですよね。同じ重さのものでも白い包装紙より黒い包装紙で包んだ方が重たく感じられる。大体2倍の重さに感じられると実験結果で出たそうです。黒いカバンをお使いの方でカバンが重たいと感じる時は白いカバンに変えてみたらもしかしたら重さが軽減されるかもしれません。明るい色は軽く、暗い色ほど重たく感じます。この色の明度が一番、軽重感に働きかけるのだそう。さらに色相と彩度も軽重感を左右します。たとえばピンク色は軽く感じますが、赤色は重たく感じます。明度が同じでも彩度が高い方が軽く感じられ、彩度の低い色は重く感じます。つまり冴えた色は軽く、くすんだ色は重く感じるということですね。部屋の照明にも左右されます。電球色では重く、蛍光灯では軽く感じられます。
まとめると軽やかで爽やかな印象にしたい時は明るい色を取り入れ、明度も明るい色を取り入れる。逆に、重厚感を出したい時は暗い色や、明るい色でも明度や彩度の低いものを選んだ方がいいということですね。

本当に私たちに様々な影響を与える「色の力」。ちょっとした豆知識ですが、カラースキームや色のコーディネートにお役立てください。

 

出典:色の秘密 最新色彩学入門 / 野村順一著